心房細動とは、心臓の上側にある「心房」という場所が電気的興奮で不規則に震えるような状態です。その結果、脈が乱れたり早くなったりする、不整脈の一つです。
普段は正常な脈が発作的に短時間だけ起こって元に戻る「発作性心房細動」、ずっと持続している「慢性心房細動」、1年以上持続する「長期持続性心房細動」があり、症状が強くなければ緊急性はありませんが、動悸、息切れ、疲れやすいなどの症状が現れ、また脳梗塞になりやすくなるため、適切な治療が必要です。
しかし、約半数の方は自覚症状がなく、健康診断で指摘されたり、脳梗塞になった後で気づかれたりすることも少なくありません。
心房細動は、年齢を重ねるごとに起こりやすくなり、8割以上の方が65歳以上です。
心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症)、高血圧、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)などの器質的疾患が原因となる場合もありますが、ストレス(過労、睡眠不足)、喫煙、アルコールが誘引となることもよくあります。
心臓が規則的に動くことができなくなり、頻脈となるため心臓に負担がかかります。
最終的には心不全と呼ばれるような状態を引き起こします。
・脳梗塞
心房が不規則に震えることで血液がよどみ、血栓(血液のかたまり)ができやすくなります。この血栓が飛んでいって血管に詰まってしまうと脳梗塞になります。
脳梗塞の約15%が心原性脳梗塞(心房細動による血栓が原因)とされており、他のアテローム性脳梗塞などにくらべて、比較的大きい血管が詰まることが多く、麻痺などの重い後遺症が残ることが多いです。
脳梗塞発症リスクを判断する「CHADs2スコア」という指標がありますが、高齢、高血圧、糖尿病、脳梗塞などの既往のある方は、特に血栓ができやすいことが知られています。