はじめは神経痛のような痛みがあり、かゆみやしびれといった軽い違和感から、ピリピリ、チクチクといった針で刺されたような痛み、焼けるような痛みまで個人差があります。その後、赤い発疹と水泡が帯状にあらわれ、眠れないほど強く痛むこともあります。症状は、おもに体の左右どちらか出て、3~4週間ほど続きます。
帯状疱疹の発症率は50歳台から高くなるといわれていており、日本では80歳までに約3人に1人が発症するとされています。
帯状疱疹は、体内の水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスによって発症します。
このウイルスは、子どもの頃にかかる「水ぼうそう」と同じで、水ぼうそうが治った後もウイルスは体内に潜んでおり、日本人の約9割が持っているとされています。
普段は体の免疫力によってウイルスの活動がおさえられていますが、加齢、疲労、ストレスなどをきっかけに免疫力が低下すると、再びウイルスが活動し、増殖します。その結果、神経の流れに沿って皮膚へとウイルスが移動し、帯状に痛みや発疹が出ます。
1)水ぼうそう
初めて感染したときは、水ぼうそうとして発症します
2)潜伏感染
水ぼうそうが治った後もウイルスは体内に潜伏していて、免疫力によって活動がおさえられています
3)免疫力低下
加齢やストレスなどで免疫力が低下すると、ウイルスが活発に動きだします
4)帯状疱疹
ウイルスは神経に沿って皮膚に移動し、症状があらわれます
帯状疱疹を発症した場合、抗ウイルス薬などによる治療を行っても後遺症が残る可能性があるため、予防が重要となります。
50歳以上の方が接種対象となる予防ワクチンには、「水痘ワクチン(生ワクチン)」と「シングリックス(不活化ワクチン)」があります。ワクチンの予防効果はシングリックスのほうが高いとされていますが、接種回数や費用などが違ってくるため、下記を参考にご自身にあったワクチンを選びましょう。
水痘ワクチン | シングリックス | |
対象者 | 50歳以上 | 50歳以上 |
種類 | 生ワクチン | 不活化ワクチン |
注射方法 | 皮下注射 | 筋肉注射 |
注射回数 | 1回 | 2回(2ヵ月間隔) 6ヵ月後までに2回接種を終える |
自費金額 (2022年10月現在) | 8,360円 | 21,010円×2回 |
発症予防効果 | 69.8%(50~59歳) | 97%(50歳以上) 89%(70歳以上) |
持続効果 | 5年間 | 平均7年間 長期免疫原生10年 |
接種不適当者 | 免疫不全状態の方 免疫抑制剤で治療中の方 |
※予防ワクチンは帯状疱疹を完全に防ぐものではありません
A. 一度かかると基本的には免疫が獲得されるので、可能性はかなり低くなります。しかし、免疫が低下している方などで数%は再発する場合もあります。
A. 基本的にはうつりません。しかし、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を保有していない小児などには感染する可能性があり、その場合は水ぼうそうを発症します。
また、多数の神経節にまたがっている場合(3カ所以上、対側に皮疹)は感染力が非常に強く、ものによっては空気感染を起こします。