帯状疱疹

帯状疱疹は、皮膚に神経痛のような痛みが起こった後、帯状に赤い斑点と水疱があらわれる病気です。強い痛みを伴い、多くは胸、背中、腕に出ますが、顔面に出る場合もあり、視力障害や耳鳴り、難聴などの障害や後遺症が残ってしまう可能性があります。帯状疱疹の痛みや外見によっては、かなり日常生活が制限されてしまいます。

また、発症中だけではなく、皮膚症状が治った後も数カ月、ときには何年も痛みが残る帯状疱疹後神経痛(PHN)もあります。50歳以上で約2割の患者さんがPHNに移行するといわれており、後遺症が残ってしまうケースがあるのが帯状疱疹の注意点です。


帯状疱疹の症状

はじめは神経痛のような痛みがあり、かゆみやしびれといった軽い違和感から、ピリピリ、チクチクといった針で刺されたような痛み、焼けるような痛みまで個人差があります。その後、赤い発疹と水泡が帯状にあらわれ、眠れないほど強く痛むこともあります。症状は、おもに体の左右どちらか出て、3~4週間ほど続きます。

帯状疱疹の発症率は50歳台から高くなるといわれていており、日本では80歳までに約3人に1人が発症するとされています。

帯状疱疹の原因

帯状疱疹は、体内の水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスによって発症します。
このウイルスは、子どもの頃にかかる「水ぼうそう」と同じで、水ぼうそうが治った後もウイルスは体内に潜んでおり、日本人の約9割が持っているとされています。
普段は体の免疫力によってウイルスの活動がおさえられていますが、加齢、疲労、ストレスなどをきっかけに免疫力が低下すると、再びウイルスが活動し、増殖します。その結果、神経の流れに沿って皮膚へとウイルスが移動し、帯状に痛みや発疹が出ます。

帯状疱疹のしくみ

1)水ぼうそう
初めて感染したときは、水ぼうそうとして発症します

2)潜伏感染
水ぼうそうが治った後もウイルスは体内に潜伏していて、免疫力によって活動がおさえられています

3)免疫力低下
加齢やストレスなどで免疫力が低下すると、ウイルスが活発に動きだします

4)帯状疱疹
ウイルスは神経に沿って皮膚に移動し、症状があらわれます

帯状疱疹の検査

  • 問診
    これまで水ぼうそうにかかった経験があるかなどを確認します

  • 血液検査
    神経痛の症状はあるものの発疹は出ていない初期症状の場合などに血液検査を行います

  • 治療
    基本的には抗ウイルス薬鎮痛薬などを使います。
    抗ウイルス薬は、ウイルスのDNA合成を妨げることで、ウイルスの増殖を抑える働きをします。症状が軽~中程度の場合には内服薬で治療できますが、重症になると入院して点滴での治療が必要となる場合もあります。

帯状疱疹予防ワクチン

帯状疱疹を発症した場合、抗ウイルス薬などによる治療を行っても後遺症が残る可能性があるため、予防が重要となります。

50歳以上の方が接種対象となる予防ワクチンには、「水痘ワクチン(生ワクチン)」と「シングリックス(不活化ワクチン)」があります。ワクチンの予防効果はシングリックスのほうが高いとされていますが、接種回数や費用などが違ってくるため、下記を参考にご自身にあったワクチンを選びましょう。


水痘ワクチンシングリックス
対象者50歳以上50歳以上
種類生ワクチン不活化ワクチン
注射方法皮下注射筋肉注射
注射回数1回

2回(2ヵ月間隔)

6ヵ月後までに2回接種を終える

自費金額

(2022年10月現在)

8,360円21,010円×2回
発症予防効果
69.8%(50~59歳)

97%(50歳以上)

89%(70歳以上)

持続効果
5年間

平均7年間

長期免疫原生10年

接種不適当者

免疫不全状態の方

免疫抑制剤で治療中の方


※予防ワクチンは帯状疱疹を完全に防ぐものではありません

よくある質問

Q. 帯状疱疹に2回なることはありますか?

A. 一度かかると基本的には免疫が獲得されるので、可能性はかなり低くなります。しかし、免疫が低下している方などで数%は再発する場合もあります。

Q. ほかの人にうつりますか?

A. 基本的にはうつりません。しかし、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫を保有していない小児などには感染する可能性があり、その場合は水ぼうそうを発症します。
また、多数の神経節にまたがっている場合(3カ所以上、対側に皮疹)は感染力が非常に強く、ものによっては空気感染を起こします。