COPD(慢性閉塞性肺疾患)

COPDは、いわゆるタバコ肺のことで「肺の生活習慣病」ともいわれています。気管や気管支の炎症や、肺胞(吸い込んだ酸素と体内の二酸化炭素とをガス交換する組織)が破壊されて肺機能が低下し、進行すると呼吸不全など重篤な症状を引き起こします。

COPDの症状

慢性気管支炎は、気道が狭くなり慢性的に炎症を起こし、咳や痰(たん)が続きます。
肺気腫は、肺細胞の壁が壊れて肺の中がスカスカの状態になることから、呼吸障害などを引き起こします。
以下の症状がみられる場合は、COPDの可能性があります。

  • 少しの動作で息切れしやすい
  • 一日に何度も咳が出る
  • 黄色や粘り気のある痰が出る
  • 呼吸をするときにゼイゼイ、ヒューヒューと変な音がする

など

COPDの原因

COPDは有害物質の吸入や大気汚染によって起こります。
しかし、日本ではCOPDの90%以上は喫煙が原因といわれています。喫煙によって長期にわたり肺に有害物質が蓄積された結果、肺が炎症を起こして呼吸困難になります。

COPDの検査

  • 呼吸機能検査(スパイロメトリー)
    スパイロメーターという機器を使って肺活量と空気の通りやすさを調べる、COPDの診断に重要な検査です。
    検査では、息を思いきり吸ってから勢いよく吐いたときに、1秒間で吐ける量(1秒量)を測定します。気道が狭くなっていると1秒量が少なくなります。

  • パルスオキシメーター
    指先に挟む機器を使って、動脈血中の酸素飽和度や脈拍の変化を測定します

  • 胸部X線、胸部CT検査
    肺が全体に黒く写ったり、肺の変形、肺動脈の拡張といった異常がないか診断します

  • 心電図検査、心臓超音波(心エコー)検査
    COPDは心臓に負担がかかりやすく、虚血性心疾患を合併する場合もあるため、心電図や心臓超音波検査を行います

COPDの治療

COPDは根本的に治すことができないため、早い段階で病気を発見し、治療を続けて病気の進行をおさえることが大切です。
症状によって治療法は異なりますが、薬によって症状を和らげたり、リハビリなどでQOL(生活の質)の向上を図ります。

  • 禁煙
    治療の基本であり、もっとも重要なのが禁煙です。禁煙をすれば、COPDの症状が出ていてもその後の肺機能の低下をおさえられます。
    タバコへの依存性が強い人には、ニコチンパッチやニコチンガムなどの禁煙補助薬などを使用することも可能です。

  • 薬物治療
    ・気管支拡張薬…炎症で狭くなった気道を広げ、咳の症状をおさえます
    ・去痰薬…咳を鎮めたり、痰を切れやすくします
    ・ステロイド薬…肺や全身の炎症を鎮める効果があり、吸入薬と内服薬があります

  • 在宅酸素療法
    鼻に装着するチューブを通して継続的に酸素を取り込み、呼吸不全や息苦しさをおさえます。自宅に置く大きな酸素タンクのほかに小型タンクもあるため、外出時にも酸素を持ち運ぶことができ、QOLが向上します。

  • 呼吸リハビリテーション
    COPDが進行すると呼吸困難の症状が強くなるため、運動機能やQOLが低下します。その結果、体力や筋力も衰え、呼吸不全になる悪循環を断ち切るため、薬物療法と合わせて歩行トレーニングなどの運動療法を行い、患者さんの日常生活をサポートします。

    さまざまな内科治療を行っても改善しない場合は、手術で肺の一部を切除する外科的治療が行われる場合もあります。